基礎知識

「滅失の日から 1 か月以内」って何の期限?— 税金・登記の言葉 5 語

最終更新 2026-09-03 | しが解体ナビ編集部

机で電卓をたたく手元とコーヒーカップ

法務局の案内に「滅失の日から 1 か月以内に申請しなければなりません」。この場面の 5 語は、業者との会話には出てきません。法務局、市役所、税務署の書類の上で出会う言葉です。

5 語は、3 枚の書類のここに出てくる

法務局

建物を取り壊したとき・相続したときの登記のご案内

建物を取り壊したときは、滅失の日から 1 か月以内に 建物滅失登記1 を申請してください。解体業者が発行する取壊し証明書を添えます。

相続で不動産を取得したときは、取得を知った日から 3 年以内に 相続登記2 を申請してください (2024 年 4 月 1 日から義務化)。

市役所 (税務課)

令和 8 年度 固定資産税 課税明細書

土地 ○○町 1 番 2 宅地 165 ㎡ 価格 9,900,000 円 課税標準額 1,650,000 円

小規模住宅用地 165 ㎡ (住宅用地特例3 1/6 適用)

※ 1 月 1 日現在の現況で判定しています

税務署

譲渡所得4 の内訳書 (確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】

譲渡価額 − 取得費 − 譲渡費用 (仲介手数料・解体費など) = 譲渡所得金額

特別控除額: 被相続人の居住用財産 3,000 万円特別控除5 (措法 35 条 3 項)

説明用に作成した架空の書類です (法務局・市役所・税務署から届く書類の要点だけを抜き出しています)。数字は例です。

5 語の意味

法務局の言葉1–2
1

建物滅失登記

たてものめっしつとうき

意味

取り壊した建物を、登記簿から消す手続き。

📌 アドバイス

期限は解体から 1 か月以内です。正当な理由なく怠ると 10 万円以下の過料の対象になります。解体業者が発行する取壊し証明書 (建物滅失証明書) がそろえば、自分でも申請できます。工事が終わったら、まず業者から証明書を受け取ってください。手順は 滅失登記を自分でやる記事 に。

💡 豆知識

申請先は、建物の所在地を管轄する法務局です。滋賀県内は大津の本局と、甲賀・彦根・長浜の支局、高島・東近江の出張所の 6 か所に分かれています。

2

相続登記

そうぞくとうき

意味

亡くなった人の名義の土地や建物を、相続人の名義に変える登記。

📌 アドバイス

2024 年 4 月から義務になり、相続を知った日から 3 年以内に申請します。正当な理由なく放置すると 10 万円以下の過料の対象です。解体する家の名義が亡くなった親のままなら、壊す前にこの登記を済ませておくと、あとの滅失登記や売却がすんなり進みます。

💡 豆知識

2024 年 3 月以前に相続した不動産も、さかのぼって義務の対象です。こちらの期限は 2027 年 3 月 31 日で、「昔の相続だから関係ない」とはならない制度になっています。

納税通知書の言葉3
3

住宅用地特例

じゅうたくようちとくれい

意味

家が建っている土地の固定資産税を、200 ㎡ までは 1/6 に軽くする特例。

📌 アドバイス

解体して更地にすると対象から外れ、土地の税額は名目上最大で約 6 倍になります。外れるかどうかは毎年 1 月 1 日の現況で決まるので、年末に壊すか年明けに壊すかで、翌年度の税額が変わります。実際の税額は負担調整などが働き、きっちり 6 倍にならないことも多くあります。詳しくは 固定資産税の記事 に。

💡 豆知識

課税明細書に「小規模住宅用地」と印字されている間は、特例が効いています。200 ㎡ を超える部分は「一般住宅用地」で、課税標準は 1/3 です。

確定申告の言葉4–5
4

譲渡所得

じょうとしょとく

意味

土地や建物を売ったときの、売値から買値と費用を引いた利益。

📌 アドバイス

売値まるごとに税金がかかるわけではありません。買ったときの値段 (取得費) と、売るためにかかった費用 (譲渡費用) を引いた残りが課税の対象です。更地にして売るための解体費は、この譲渡費用に含められます。解体の領収書は、売った翌年の確定申告まで保管してください。

💡 豆知識

買ったときの値段がわからない古い実家は多く、その場合は売値の 5% を取得費とみなす「概算取得費」を使えます。5% だと課税される利益が大きくなるので、購入時の契約書や領収書が残っていないか、まず探してみる価値があります。

5

3,000 万円特別控除

相続空き家の特例

意味

相続した空き家を売ったとき、利益から最高 3,000 万円を差し引ける特例。

📌 アドバイス

家を解体して更地にしてから売っても使えます。対象は 1981 年 (昭和 56 年) 5 月 31 日以前に建った家で、売却は相続から 3 年目の年末まで、かつ 2027 年 12 月 31 日までです。必要書類の「被相続人居住用家屋等確認書」は、家屋のある市町の空き家担当課で発行します。税務署より先に、市町の窓口に相談してください。

💡 豆知識

2024 年以降の売却では、特例を使う相続人が 3 人以上いると上限が 1 人 2,000 万円に下がります。「3,000 万円」という名前のまま、人数で金額が変わる控除になりました。

5 語は、この順番で出てくる

STEP 1

相続登記 (壊す前)

STEP 2

解体工事

STEP 3

滅失登記 (1 か月以内)

STEP 4

納税通知書 (翌年度)

STEP 5

確定申告 (売却翌年)

壊す前に相続登記、壊したあと 1 か月以内に建物滅失登記、翌年度の納税通知書で住宅用地特例、売った翌年の確定申告で譲渡所得と 3,000 万円特別控除。登記の 2 語が先、税金の 3 語があとです。売らずに土地を持ち続けるなら、最後の 2 語の出番はありません。

ちょっと例え話

相続登記が 2024 年に義務になった背景には、「所有者不明土地」の問題があります。登記簿を見ても持ち主がわからない、連絡がつかない土地は、全国で合わせると九州より広いと推計され、発生原因の 6 割超が相続登記の未了でした。過料つきの義務化は、この問題を止めるために入りました。

売る方向に話が進んだら、続きは 売却・活用の言葉 5 語 に。5 つの場面の全 30 語は 場面別用語集 にまとまっています。

本記事は一般的な用語解説です。登記の手続きは法務局に、税の適用可否は税務署または市町の税務担当課にご確認ください。記事中の書類は説明用に作成した架空のもので、数字は例です。

家じまい・業者選びを無料で相談相談・業者のご紹介は無料です — 家じまい相談窓口へ →

あわせて読みたい