
法務局の案内に「滅失の日から 1 か月以内に申請しなければなりません」。この場面の 5 語は、業者との会話には出てきません。法務局、市役所、税務署の書類の上で出会う言葉です。
5 語は、3 枚の書類のここに出てくる
建物を取り壊したとき・相続したときの登記のご案内
令和 8 年度 固定資産税 課税明細書
土地 ○○町 1 番 2 宅地 165 ㎡ 価格 9,900,000 円 課税標準額 1,650,000 円
小規模住宅用地 165 ㎡ (住宅用地特例3 1/6 適用)
※ 1 月 1 日現在の現況で判定しています
5 語の意味
建物滅失登記
たてものめっしつとうき
意味
取り壊した建物を、登記簿から消す手続き。
期限は解体から 1 か月以内です。正当な理由なく怠ると 10 万円以下の過料の対象になります。解体業者が発行する取壊し証明書 (建物滅失証明書) がそろえば、自分でも申請できます。工事が終わったら、まず業者から証明書を受け取ってください。手順は 滅失登記を自分でやる記事 に。
申請先は、建物の所在地を管轄する法務局です。滋賀県内は大津の本局と、甲賀・彦根・長浜の支局、高島・東近江の出張所の 6 か所に分かれています。
相続登記
そうぞくとうき
意味
亡くなった人の名義の土地や建物を、相続人の名義に変える登記。
2024 年 4 月から義務になり、相続を知った日から 3 年以内に申請します。正当な理由なく放置すると 10 万円以下の過料の対象です。解体する家の名義が亡くなった親のままなら、壊す前にこの登記を済ませておくと、あとの滅失登記や売却がすんなり進みます。
2024 年 3 月以前に相続した不動産も、さかのぼって義務の対象です。こちらの期限は 2027 年 3 月 31 日で、「昔の相続だから関係ない」とはならない制度になっています。
住宅用地特例
じゅうたくようちとくれい
意味
家が建っている土地の固定資産税を、200 ㎡ までは 1/6 に軽くする特例。
解体して更地にすると対象から外れ、土地の税額は名目上最大で約 6 倍になります。外れるかどうかは毎年 1 月 1 日の現況で決まるので、年末に壊すか年明けに壊すかで、翌年度の税額が変わります。実際の税額は負担調整などが働き、きっちり 6 倍にならないことも多くあります。詳しくは 固定資産税の記事 に。
課税明細書に「小規模住宅用地」と印字されている間は、特例が効いています。200 ㎡ を超える部分は「一般住宅用地」で、課税標準は 1/3 です。
譲渡所得
じょうとしょとく
意味
土地や建物を売ったときの、売値から買値と費用を引いた利益。
売値まるごとに税金がかかるわけではありません。買ったときの値段 (取得費) と、売るためにかかった費用 (譲渡費用) を引いた残りが課税の対象です。更地にして売るための解体費は、この譲渡費用に含められます。解体の領収書は、売った翌年の確定申告まで保管してください。
買ったときの値段がわからない古い実家は多く、その場合は売値の 5% を取得費とみなす「概算取得費」を使えます。5% だと課税される利益が大きくなるので、購入時の契約書や領収書が残っていないか、まず探してみる価値があります。
3,000 万円特別控除
相続空き家の特例
意味
相続した空き家を売ったとき、利益から最高 3,000 万円を差し引ける特例。
家を解体して更地にしてから売っても使えます。対象は 1981 年 (昭和 56 年) 5 月 31 日以前に建った家で、売却は相続から 3 年目の年末まで、かつ 2027 年 12 月 31 日までです。必要書類の「被相続人居住用家屋等確認書」は、家屋のある市町の空き家担当課で発行します。税務署より先に、市町の窓口に相談してください。
2024 年以降の売却では、特例を使う相続人が 3 人以上いると上限が 1 人 2,000 万円に下がります。「3,000 万円」という名前のまま、人数で金額が変わる控除になりました。
5 語は、この順番で出てくる
相続登記 (壊す前)
解体工事
滅失登記 (1 か月以内)
納税通知書 (翌年度)
確定申告 (売却翌年)
壊す前に相続登記、壊したあと 1 か月以内に建物滅失登記、翌年度の納税通知書で住宅用地特例、売った翌年の確定申告で譲渡所得と 3,000 万円特別控除。登記の 2 語が先、税金の 3 語があとです。売らずに土地を持ち続けるなら、最後の 2 語の出番はありません。
相続登記が 2024 年に義務になった背景には、「所有者不明土地」の問題があります。登記簿を見ても持ち主がわからない、連絡がつかない土地は、全国で合わせると九州より広いと推計され、発生原因の 6 割超が相続登記の未了でした。過料つきの義務化は、この問題を止めるために入りました。
売る方向に話が進んだら、続きは 売却・活用の言葉 5 語 に。5 つの場面の全 30 語は 場面別用語集 にまとまっています。
本記事は一般的な用語解説です。登記の手続きは法務局に、税の適用可否は税務署または市町の税務担当課にご確認ください。記事中の書類は説明用に作成した架空のもので、数字は例です。
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