
不動産会社の査定で「こちらは調整区域ですので」と言われ、意味がわからないまま相づちを打つ。売却・活用の言葉は、物件情報の隅と契約書の特約に集まっています。壊す前に知っておきたい 5 語をまとめました。
5 語は、物件情報のここに出てくる
○○市 空き家バンク1 登録物件情報
種別・価格
売買 980 万円 (古家付き土地2)
価格は土地のみの評価です。建物の価値は含みません
所在
滋賀県○○市○○町
土地
宅地 198 ㎡ (約 60 坪)
建物
木造 2 階建 1977 年 (昭和 52 年) 築 延床 99 ㎡
現況: 空き家 (最終居住 2021 年)
都市計画
市街化調整区域3
宅地の造成及び建物の建築はできません
接道
南側 幅 1.8m の通路に接する (再建築不可4)
建築基準法上の道路に 2m 以上接していないため
備考
現況有姿での引渡し。契約不適合責任5 は免責
残置物あり (家具・家電)。引渡し前の撤去は応相談
○○市 まちづくり推進課 空き家バンク担当
物件の案内・契約は協定を結んだ市内の不動産会社が行います
5 語の意味
空き家バンク
意味
空き家を売りたい人や貸したい人と、使いたい人を市町がつなぐ登録制度。
滋賀は 19 市町すべてに窓口があります。運営の形は市町直営から不動産サイトとの連携までさまざまで、登録すると市町のホームページで物件が公開されます。壊すか迷っている段階で、まず登録の相談だけしてみる使い方もあります。窓口の一覧は 空き家バンクまとめ に。
市町のバンクとは別に、国土交通省の「全国版空き家・空き地バンク」があります。公募で選ばれた民間 2 社が、自治体をまたいで検索できるサイトを運営しています。2017 年度のモデル事業を経て、2018 年 4 月から本格運用されています。
古家付き土地
ふるやつきとち
意味
古い家を壊さず、建物ごと「土地」として売り出す売り方。
売主は解体費を払わずに手放せます。そのぶん、買主から解体費相当の値引き交渉が入りやすくなります。壊してから売るか、そのまま売るかは、解体費と値引き幅のどちらが大きいかで決まります。損得の構造は 古家付き土地売却の記事 に。
広告の「古家あり」は義務の表示です。不動産広告のルール (不動産の表示に関する公正競争規約) が、土地の上に古家や廃屋があるときはその旨を明示するよう定めています。
市街化調整区域
しがいかちょうせいくいき
意味
都市計画で市街化を抑えるとされ、建物の新築が原則許可制の区域。
滋賀の郊外に広く、解体したあとの土地の使い道に直接効いてきます。前から建っていた家の建て替えが認められるかどうかは、市町ごとの運用で変わります。壊す前に、市町の開発許可の担当課で確かめてください。
物件情報にある「宅地の造成及び建物の建築はできません」は、表示規約が広告に義務づけている決まり文句そのままです。新聞折込チラシやパンフレットでは、16 ポイント以上の大きさの文字で書くことまで指定されています。
再建築不可
さいけんちくふか
意味
敷地が道路に 2m 以上接していないなどの理由で、いまの家を壊すと新しく建てられない土地。
更地にしてから気づくと、打てる手が大きく限られます。壊す前に、市町の建築指導の担当課で接道の状況を確かめてください。確かめ方は 再建築できない土地の記事 に。
「再建築不可」という言葉は、建築基準法の条文には出てきません。出どころは広告のルール側で、表示規約が、道路に 2m 以上接しない土地に「再建築不可」または「建築不可」と明示するよう義務づけています。
契約不適合責任
けいやくふてきごうせきにん
意味
売った物が契約の内容と合わないときに、売主が負う責任。
古家付きの売買では、この責任を負わない免責特約を付けるのが通例です。ただし、売主が知っていて告げなかった不具合までは免責にできません。雨漏りや傾きなど、知っていることは契約の前にすべて伝えてください。伝えた内容は書面に残します。
2020 年 4 月施行の民法改正 (債権法改正) で、それまでの「瑕疵 (かし) 担保責任」を見直して生まれた、比較的新しい言葉です。
5 語とも、引きどきは壊す前
建てられるか 確認
壊さない出口 の検討
売るなら 契約条件
壊すなら 解体へ
5 語を順番に並べると、売却・活用の検討はひとつの流れになります。市街化調整区域と再建築不可は「壊してよいか」の確認、空き家バンクと古家付き土地は「壊さない出口」の検討、契約不適合責任は売ると決めたあとの契約の言葉です。順番を逆にして先に更地にすると、確認も出口もまとめて失うことがあります。
フリマアプリの「ノークレーム・ノーリターンでお願いします」は、中古品を現状のまま渡す代わりに、あとから欠点を指摘されても対応しない、という取り決めです。古い建物ごと土地を売る「古家付き」の売買にも、これにあたる条項があります。契約不適合責任の免責特約です。契約書では「現況有姿」「免責」といういかめしい言葉になりますが、中身はあの一行と同じです。
売ったあと、壊したあとに待っている言葉は 税金・登記の言葉 5 語 に、5 つの場面の全 30 語は 場面別用語集 にまとまっています。
本記事は一般的な用語解説です。再建築の可否や区域の扱いは市町の建築指導・開発許可の担当課に、売買の契約条件は不動産会社にご確認ください。記事中の物件情報は説明用に作成した架空のものです。
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