
「空き家を放っておくと固定資産税が 6 倍になる」。聞いたことがある人も多いと思います。本当ですが、自動で 6 倍になるわけではありません。市町から「勧告」を受けて、1 月 1 日までに直さなかった家の土地が、翌年度から高くなる。「6 倍」は最大の数字です。そして 2023 年の法律の改正で、倒れそうな家だけでなく、窓が割れて草が伸びた「傷みかけ」の家も対象になりました。今回は、6 倍の正体と、いつから上がるのか、2023 年で何が変わったのかを解説していきます。
この記事のポイント
6 倍 = 土地の軽減 (1/6) が外れること
上がるのは「勧告」のあと
2023 年から、傷みかけの家も対象
01「管理不全空家」とは
「管理不全空家」は、2023 年 12 月の改正でできた新しい区分 です。倒れそうな「特定空家」の一歩手前。窓が割れたまま、草木が伸び放題、雨どいが外れている。そんな、放っておけば特定空家になりそうな空き家のことです。市町がそう認めると、まず「指導」、直らなければ「勧告」。勧告を受けると、次の「6 倍」が現実になります。
02「6 倍」の正体は、特例はずし
家が建つ土地の課税標準
1/6
勧告を受けると
最大 約 6 倍
家が建っている土地は、「住宅用地特例」という決まりで固定資産税がぐっと安くなっています (200㎡ までの部分は 1/6、それを超える部分は 1/3)。勧告を受けると、この特例が外れる。これが「6 倍」の正体です。実際の税額は調整が入るので、きっちり 6 倍にならないことも多いです。
以前は、倒れそうな「特定空家」に勧告が出たときだけでした。2023 年 12 月からは、管理不全空家への勧告でも外れます。
03いつから?— 勧告のあと、1 月 1 日を越えたら
固定資産税は、毎年 1 月 1 日の状態で決まります。勧告を受けて、1 月 1 日までに直さないと、翌年度の分から特例が外れます。「年に 1 回使えば翌年の年会費が無料」のクレジットカードと同じで、締め日までに条件を満たせば翌年も続きます。逆に言うと、勧告が来ても 1 月 1 日までに直せば、翌年度は守られます。
042023 年に、線が手前に引き直された
改正空家法の施行
2023 年 12 月
2023 年の改正で変わったことは 3 つ。「管理不全空家」ができて、勧告で特例が外れるようになった こと (①)。緊急のときに市町が代わりに壊す「代執行」がやりやすくなり、費用は持ち主に請求されること (②)。空き家の活用を後押しする仕組みができたこと (③)。持ち主の財布にいちばん響くのは①です。
特定空家のほうは「指導 → 勧告 → 命令 → 代執行」の 4 段で、命令に従わないと 50 万円以下の過料もあります。管理不全空家は「指導 → 勧告」の 2 段だけ。改正のメッセージははっきりしていて、「危なくなってから」ではなく「危なくなりそうな段階」から市町が動く ようになりました。
05滋賀では、どこまで進んでいる?
滋賀で勧告に至った特定空家
累計 65 件
管理不全空家 (2024 年度)
指導 5 件・勧告 0 件
全国では、管理不全空家への勧告が初年度だけで 378 件。滋賀はまだ勧告 0 件ですが、指導 5 件はその一歩手前です。県内 19 市町はぜんぶ空家対策の計画を作り終えていて、受け皿は先にできています。0 件は「まだ」の 0 件 と思っておくのが安全です。
「まだ特定空家じゃないから大丈夫」は、2023 年で終わりました。窓や屋根の傷み、草木を放っておかないこと。そして使う予定のない空き家は、元気なうちに「売る・貸す・壊す」を決める のがいちばん安い対策です。
全国の措置件数 (2025 年 3 月末)
国土交通省「空家法の施行状況等」より。代執行は略式を含む
本記事は 2026-08-20 時点の公開情報に基づく一般的な解説です。個別の課税や措置の運用は、市町の税務担当課・空き家担当課にご確認ください。
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