
「特定空家に認定されたら、本当に役所が壊しに来るの?」。滋賀には、その答えになる実例があります。野洲市の分譲マンション「美和コーポ」は、2019 年に空家法の行政代執行で市が解体して、費用は持ち主に請求されました。今回は、特定空家とは何かから、認定されるとどうなるか、野洲市で実際に起きたことを順に解説していきます。
この記事のポイント
特定空家 = 市町が「危ない」と認定した空き家
野洲市では、本当に市が壊して費用を請求した
不利益は、代執行のはるか手前から
01特定空家とは
特定空家は、空家法 (2015 年施行) にもとづいて市町が認定した「放っておくと危ない・有害な空き家」のことです。認定の理由は 4 つ。倒れそう (保安上危険)、ごみや害獣で衛生上よくない、景観をひどく損なっている、周りの生活環境を守るために放置できない。誰も住んでいない・古いというだけでは当たらず、市町が現地を調べて決めます。認定されると、助言・指導 → 勧告 → 命令と進んで、最後は市町が代わりに壊す「行政代執行」まであります。
02野洲市で起きたこと
市が所有者 3 人から回収
3,900 万円
特定空家の指定
2018 年 9 月
2018 年 8 月に市がアスベストの調査をして、9 月に特定空家に指定。管理組合はなく、一部の持ち主とは連絡が取れず、修繕積立金もない状態でした。2019 年、空家法にもとづく行政代執行として市が解体。分譲マンションの代執行は全国でも異例と報道され、市はそのあと、持ち主 3 人から合わせて 3,900 万円を回収したと公表しています (報道)。
03この実例が示すこと
この実例が教えてくれることは 3 つ。1 つ目、制度は最後まで動く。放っておいても、行政が壊して費用を請求するところまで進みます。2 つ目、逃げ道はない。「連絡が取れない」「お金がない」でも、費用の取り立ては続きます。3 つ目、共有ほど止まりやすい。共有や区分所有は関係者が多いほど決められなくなって、行政が介入するところまで進みやすい建物です。
04不利益は、代執行のはるか手前から
管理不全 空家
指導・勧告 (税軽減が外れる)
特定空家 認定
命令・ 代執行
2023 年の法改正で、「管理不全空家」という手前の段階ができました。勧告を受けた時点で、固定資産税の住宅用地特例 (土地の税金の軽減) が外れます。つまり、お金の不利益は代執行のはるか手前から始まる仕組みです。
05県内で行政が壊した 13 件
略式代執行 12 件を市町別に見ると、彦根 1・野洲 2・高島 4・東近江 2・米原 2・日野町 1。いちばん多いのは高島市の 4 件で、大津市や草津市はこの中に入っていません。多くの持ち主は、勧告 (65 件) の段階で動いています。動けるうちに自分で決める。それが、費用も選べる道もいちばん多く残ります。
特定空家への措置件数 (滋賀県内・累計)
2025 年 3 月末時点の累計。このほか 2023 年改正で新設された管理不全空家は、2024 年度に指導 5 件・勧告 0 件
実例の経緯は報道 (2019・2020 年) に基づきます。制度の現行運用は各市町の空き家担当課にご確認ください。
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