
届いた見積書の 2 行目に「仮設養生費 一式 120,000 円」。この行が何の値段か、わかる人は少ないと思います。見積書は、行の名前の意味がわかるだけでかなり読めるようになります。見積書に出てくる 8 語をまとめました。
8 語は、見積書のここに出てくる
御 見 積 書
○○ ○○ 様
2026 年 ○月 ○日
- 件名: 木造 2 階建 住宅 解体工事
- 現場: 滋賀県○○市○○町
- 規模: 延床 約 99 ㎡ (約 30 坪)
木造 2 階建 解体工事 (本体)
単価 30,000 円/坪
900,000
30 坪
廃棄物運搬処分費
木くず・コンクリートがら・混合廃棄物 (品目別内訳: 別紙)
400,000
1 式
諸経費
近隣あいさつ・届出書類の作成
80,000
1 式
○○解体工業 株式会社
滋賀県○○市○○町 1-2-3
8 語の意味
一式
いっしき
意味
単価や数量を書かず、まとめていくらで金額だけを書く書き方。
仮設費や諸経費が「一式」なのはふつうです。本体工事や処分費まで「一式」だと、何が入っていて何が追加になるのかわかりません。他社とも比べられません。気になる行は「この一式には何が入っていますか」と聞いてください。
相見積もり
あいみつもり
意味
2〜3 社に同じ条件で見積もりを頼み、内訳を並べて比べること。
1 社だけだと、高いのか安いのか判断できません。坪数や付帯物の範囲など、条件はそろえて頼みます。他社にも頼んでいることは隠さなくて大丈夫。「他社さんにも同じ条件でお願いしています」で十分です。
業界では「あいみつ」と略します。「相」は「相席」「相乗り」と同じで、「お互いに」の意味です。
仮設工事
かせつこうじ
意味
建物を壊す前に、足場や仮囲いで現場を整える工事。
養生シートも含めて「仮設養生費」と 1 行になっていることが多い行です。法律で決まっている工事なので、この行を削って安くすることはできません。「仮設工事」「養生費」の 2 行に分かれている業者もあるので、比べるときは合計で見ます。
高さ 2m 以上で落ちる危険がある場所の作業は、足場などで作業床を設けるように労働安全衛生規則で決まっています。
養生
ようじょう
意味
粉じんや騒音、破片が飛ばないように、建物をシートで覆う作業。
隣の家が近いほど大事になります。住宅が密集している場所では手間も範囲も増えるので、費用にも乗ってきます。この行が安い見積書は、シートをどこまで掛けるのか聞いてください。
もとは「生を養う」、健康を保つという意味の言葉です。江戸時代の『養生訓』はこちらの意味。工事では「傷めないように守る」の意味で使い、引っ越しで廊下に敷くパネルも養生と呼びます。
アスベスト事前調査
意味
解体の前に、建材にアスベスト (石綿) が入っていないかを調べる、法律で決まった調査。
資格を持った調査者が行い、見積書では「石綿事前調査」「石綿含有建材調査」などの行になります。この行があるか、まず探してください。入っていなければ、あとから足されます。アスベストが含まれていれば、除去費も別にかかります。
義務の範囲は年々広がっています。2023 年 10 月から資格者による調査が必須になり、2026 年 1 月着工分からは塀・煙突・浄化槽などの工作物も対象になりました。
付帯工事
ふたいこうじ
意味
ブロック塀、物置、庭木、浄化槽など、母屋以外の撤去をまとめた言い方。
何をここに入れるかは業者によって違い、追加費用が出やすいのはこの行です。「どこまで含むか」の認識がずれるとトラブルになるので、含むものを書面に書いてもらってください。
「ついで」の行に見えますが、ブロック塀だけでも長さ 10m ほどの撤去で 12〜35 万円が目安です。
残置物
ざんちぶつ
意味
家具、家電、布団など、家の中に残っている家財やごみ。
現地調査で「残置物はどうされますか」と聞かれます。業者に処分を頼むと割高になりやすいので、壊す前に自分で出しておくのが基本です。量を減らしておくほど、この行は小さくなります。
割高になるのには理由があります。家庭の家財は「一般廃棄物」、解体廃材は「産業廃棄物」で、必要な許可が別だからです。解体業者がまとめて処理することは、環境省の通知で原則できないとされています。
整地
せいち
意味
建物を壊したあとの地面をならす、最後の工程。
ガラを拾ってならすだけの「粗整地」か、重機で締め固める「転圧」までやるかで費用が変わります。跡地の使い方が決まっているなら、先に伝えておくと行き違いがありません。
壊したあとの土地を「更地 (さらち)」と呼びますが、不動産鑑定評価基準に定義がある言葉です。「建物等の定着物がなく、かつ、使用収益を制約する権利の付着していない宅地」。整地は、その更地に仕上げる作業です。
8 語は、工事の順番どおりに並んでいる
仮設・ 養生
本体 工事
付帯 工事
運搬・ 処分
整地
見積書の行は、だいたい工事の順番に並んでいます。足場と養生で現場を整える、本体を壊す、塀や物置を片付ける、廃材を運んで処分する、最後に整地する。行の名前が業者ごとに違っても、この順番に並べ直すと 2 通を比べやすくなります。区分ごとの読み方と危険信号は 解体の見積書の見方 にまとめています。
領収書の但し書きが「お品代」だけだと、あとで見ても何に払ったのかわかりません。見積書の「一式」も同じです。内訳が見えない行は、他社と比べられません。
契約して工事が始まると「手壊し」「E 票」など現場の言葉が増えてきます。そちらは 工事の言葉 5 語 に。5 つの場面の全 30 語は 場面別用語集 にまとまっています。
本記事は一般的な用語解説です。見積書の書式・項目名・含まれる範囲は業者により異なるため、個別の内容は依頼先の解体業者にご確認ください。記事中の見積書は説明用に作成した架空のもので、金額は相場を示すものではありません。
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